間宮兄弟

間宮兄弟を見た。


雰囲気がいい映画。なにが起こるわけではないが、いい味出してる兄弟を眺めているだけで見てられる。それにしてもこの兄弟、作中ではファンタジーな存在となっていて、現実感がまったくない。だからこそこちらもこの兄弟にたいして好意的に見ていられた。勿論実際にあのような兄弟がいたら、特に女の人なんかは好意的に捉えることなどできないのではなかろうか。わけのわからんカレーパーティにいきなり誘ってきたり、遊びがモノポリーだったり、自分の好きな曲を詰め合わせたMDをプレゼントしてきたり・・・。現実にこの兄弟が存在したらかなり痛々しい存在だろうし、見ていられないだろう。そんな兄弟を、横で見ていた俺の彼女に、「カワイイ」といわせるまでに、妖精のような存在に描けてるこの作品はスゴイなぁなんて思った。

だが僕にはこの作品は正直キツかった。僕にもこの兄弟のときのような時期があったからだ。好きな女の子に彼女の好きなアーティストのCDをプレゼントしたり、ろくにデートの約束すらできなかった時期が。その時のことを思い出して辛かった。ヒリヒリと心にくるものがあった。というかちょっとオタクな中学、高校時代を過ごした人間なら皆そうだったろう。

そして、たいてい皆そんな時期を乗り越え、なんとか彼女を作ったりするようになるのだが、この兄弟は一向に成長しない。そう、僕がこの作品で驚いたのは、結局この兄弟は最後まで成長することはなかったことだ。ふつうの映画だったら、なんらかの成長があって作品を締めるのが定石だったりするけど。この作品では兄弟以外の人間は成長し、結局兄弟だけが成長しないで作品がおわる。きっとこの兄弟は、このような経験を何度も繰り返してきたのだろう。抱きついてきた女を冷たく突き放す弟。自分の恋は実らず、他人の結婚を祝う兄。クリスマスも二人で過ごす兄弟。一つの映画としてみればああいう兄弟愛もいいのだろうけど、現実的に見ればあのままでいいわけない。いつまで兄弟離れできないんだということである。スタッフロール後のシーンは「おまえら、いい加減にしろ」という意味ではなかろうか